夏の思い出
ふと、小学生の頃、我が家に親戚が遊びに来たときのことを思い出しました。
僕はそのころ祖父母と暮らしていたので、お盆になると叔父、叔母たちに連れられて従兄弟たちも一緒にやってきました。多い時は我が家の居間に15人も人が集まったのです。
普段交流のない従兄弟たちとは、最初のうちこそぎこちないですが、そこは子供です。すぐに打ち解けて、スイカを食べたり、花火をしたり、楽しく時間を過ごしたものでした。
そして夏の終わりを感じる今日、ふと思い出したのは、そんな従兄弟たちが自分の家に戻っていく日のことです。
波が引くように、みんな一斉に帰ってしまうと妙に家の中が静かに感じられて、なんとも言えず寂しくなったものです。
家に帰る従兄弟たちは、サヨナラを言う寂しさより、自分の家に戻ることの安ど感の方が大きいようで、あっさり帰っていきます。車内から屈託のない笑顔のままに手を振る彼等を少しうらめしくも思ったりもしました。
あの頃と違って、夏だからといって、海にも出掛けないし、花火をするわけでもない、ただ暑いだけの、しかも限度を超えて暑いだけの夏ですが、ワーッと来て、ワーっと去っていく、あの従兄弟たちにも似て、夏の終わりを感じると何となく寂しくなるものです。